喫煙は、脳卒中や心疾患などの循環器疾患のリスクであるだけでなく、慢性閉塞性肺疾患や糖尿病に共通したリスク要因です。そのため、喫煙率の低下や受動喫煙の改善はとても重要です。
2024年から開始された健康日本21(第三次)では、喫煙率の減少を目標のひとつとしてしていますが、「喫煙をやめたい者がやめる」というかっこ書きがついています。直近(2019年)の国民健康・栄養調査における喫煙率は16.7%であり、喫煙者の中でたばこをやめたいと思う人の割合は26.1%でした。このやめたい人がすべてやめた場合の喫煙率を算出すると12.3%となることから、喫煙率12%を今後の目標値として定めています。
喫煙率以外の目標としては、20歳未満の喫煙をなくすこと、妊娠中の喫煙をなくすことが挙げられています。20歳未満の喫煙は法律で禁止されていますし、若年期からの喫煙は健康影響が大きく、成人後の喫煙継続につながりやすいことから、将来の喫煙率減少のためにも重要です。また、妊娠中の喫煙は、妊婦自身の妊娠合併症などのリスクを高めるだけでなく、胎児の発育遅延や低出生体重、出生後の乳幼児突然死症候群発症のリスクにもなります。
現状、20歳未満の喫煙率は0.6%、妊婦の喫煙率は1.9%と報告されています。これらの数値を0%に近づける対策が今後、講じられます。
禁煙は、ダイエットなどと同じく、生活習慣の改善です。禁煙のメリットを理解し、禁煙を決断し、継続するための意思が必要です。また、家族を含めた周囲のサポートも重要です。禁煙補助薬等もうまく利用して、やめたい人がやめられるようなサポートを充実させましょう。