「たばこは体に悪いと分かっているのに、なかなかやめられない」、「何度も挑戦したけれど失敗してしまう」、このように悩む人は少なくありません。しかし、禁煙が難しい理由は、意思が弱いからではありません。喫煙の本質は「ニコチン依存症」という医学的な問題です。

たばこを吸うと肺からニコチンが取り込まれ、脳に素早く届き、快楽に関わる脳内神経伝達物質であるドーパミンを大量に放出します。ドーパミンには、気分をよくしたり、緊張を和らげたりする作用があります。

喫煙を繰り返すうちに、脳はニコチンがある状態を「普通」と認識するようになり、ニコチンが切れるとイライラ、不安、集中しにくさなどの不快な症状が現れます。これが「離脱症状」です。たばこが吸えない状態が続いたときに喫煙することによって、離脱症状が消失するため、再び喫煙を続けてしまう現象が起こります。しかし、実際には、ニコチン切れによる一時的な症状を解消しているに過ぎません。

重要なのは、離脱症状は永遠には続かないという点です。ピークは禁煙開始後23日で、12週間で軽減します。その間をどう乗り切るかが、禁煙成功の鍵になります。禁煙補助薬を使うことで離脱症状は和らぎ、比較的楽に禁煙できるようになります。禁煙外来は保険適用されていますし、自治体によっては治療費助成が行われているところもあります。是非、利用してください。

「吸いたくなるのは病気の症状」と理解すると、自分を責めずに対処しやすくなります。「意思が弱いから無理」とあきらめるのではなく、依存の正体を知り、適切な方法を選択することが、たばこのない生活への近道です。