「適正体重」というと、体重を減らすことしか思いつかない人が多いかもしれません。しかし、やせ過ぎの人にとっては、「適正体重」に近づけるためには体重を増やす必要があるかもしれません。
身長と体重から計算できるBMIと死亡率の関係については、低過ぎても高過ぎても死亡率が高くなる「Jカーブ」と呼ばれる曲線関係にあることが知られています。将来の健康を守るためには、太り過ぎの改善だけでなく、やせ過ぎの改善も必要なのです。
特に若い女性は、芸能人やモデルに対する憧れから、やせ型の体型を目指す傾向があります。このことは世界的に問題視されており、フランスでは、「やせすぎのモデルの活動を禁止する法律」が2015年に可決されています。
もともとやせ型の人が体重を無理に増やす必要はありませんが、BMI 20を下回るような体型を目指して、無理にやせようとすることは、将来の健康リスクになります。
重要なことは、どのような体型であれ、栄養バランスのとれた食習慣、定期的な運動習慣、十分な睡眠時間、喫煙しない、飲酒し過ぎない、といった良い生活習慣を維持することです。
同じやせ型でも、良い生活習慣を維持している人は、やせによる死亡リスクは高くありません。同様に、ぽっちゃり型でも、良い生活習慣を維持している人の死亡リスクは高くありません。
体重は、簡単にかつ正確に計測できる健康のバロメータです。体重が増えすぎても減り過ぎても、体調に影響があります。他人との比較ではなく、ご自身の感覚が大切です。良い生活習慣を継続しながら、ご自身の適正体重を見極めるようにしましょう。