「8020運動」、ご存知でしょうか?「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という運動です。

 実は歯科医療費(約3兆円)は、約2兆円の高血圧や脳血管疾患よりも高額です(がんは約4兆円)。また、高齢者のみならず、若い世代でも相応の医療費がかかっていることが特徴的です。すなわち「80歳」に近い高齢期の対策はもちろん、小児期からの対策を充実させることが、「8020運動」には必要です。

 歯・口腔の健康は、糖尿病や循環器疾患等との関連性が指摘されていることもあり、健康日本21(第三次)では、①歯周病を有する者の減少、②よく噛んで食べることができる者の増加、③歯科検診の受診者の増加、を目標に掲げています。

 ①歯周病は40歳以上で顕在化し始めると言われていますが、若年期から高齢期にかけての切れ目のない対策が必要です。

 ②よく噛んで食べることができるかどうかは、口腔機能を表しており、健康寿命の延伸や生活の質の向上に関係します。口腔機能も中年期頃から低下し始めると言われいます。

 ③定期的な歯科検診による継続的な口腔管理は、歯・口腔の健康に大きく寄与します。生涯を通じて歯科検診を受診し、歯科疾患の早期発見・重症化予防を諮ることが重要です。

 口腔には、食べる機能だけではなく、会話をしてコミュニケーションをとる機能もあります。食事や会話に支障をきたすと、外出や人との付き合いを避けるようになり、閉じこもりがちになります。高齢期に身体的、精神的、社会的に健康な生活を送るためにも、口腔機能の維持を心がけましょう。