#28 受動喫煙防止はマナーからルールへ

たばこの煙には発がん性物質が約70種類含まれており、喫煙者本人はもちろん、喫煙者の周りの人にも悪影響を及ぼします。

 受動喫煙が大人の健康に及ぼす影響としては、肺がん、虚血性心疾患、脳卒中、呼吸器の急性影響についてはほぼ確実、乳がん、慢性呼吸器症状、喘息などへの影響も示唆されています。

 また、受動喫煙が子どもの健康に及ぼす影響としては、乳幼児突然死症候群と喘息についてはほぼ確実、呼吸器症状や呼吸機能の低下、虫歯などへの影響も示唆されています。

 2020年4月1日より、健康増進法の改正により、多数の者が利用する施設、事務所、工場、ホテル・旅館の共用部、飲食店、車両等において、原則屋内禁煙となりました。屋内禁煙としない場合は、喫煙専用室の設置または加熱式たばこ専用の喫煙室の設置が求められます。また、20歳未満は客・従業員ともに、喫煙エリアへ立ち入り禁止となりました。違反者には罰則が適用されることもあります。

 ただし、既存の飲食店のうち、経営規模の小さい店舗については、経過措置として、喫煙可能を選択することができます。経過措置は2024年度までで、2025年4月からは屋内禁煙または喫煙室の設置が求められます。

 有害な副流煙を周りの人に吸わせないことは喫煙者のマナーですが、それだけでは受動喫煙を完全に防ぐことはできません。改正健康増進法は、受動喫煙の危険性を減らすために制定された法律であり、ルールです。

 望まない受動喫煙のない社会の実現に向けて、個人だけではなく、行政、企業の取り組みが重要です。

執筆者

中田由夫(なかたよしお)

筑波大学体育系 准教授

主な研究テーマ
食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにすることを目指しています。
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