#36喫煙をやめたい人がやめられるようにサポートを

 喫煙は、脳卒中や心疾患などの循環器疾患のリスクであるだけでなく、慢性閉塞性肺疾患や糖尿病に共通したリスク要因です。そのため、喫煙率の低下や受動喫煙の改善はとても重要です。

 2024年から開始された健康日本21(第三次)では、喫煙率の減少を目標のひとつとしてしていますが、「喫煙をやめたい者がやめる」というかっこ書きがついています。直近(2019年)の国民健康・栄養調査における喫煙率は16.7%であり、喫煙者の中でたばこをやめたいと思う人の割合は26.1%でした。このやめたい人がすべてやめた場合の喫煙率を算出すると12.3%となることから、喫煙率12%を今後の目標値として定めています。

 喫煙率以外の目標としては、20歳未満の喫煙をなくすこと、妊娠中の喫煙をなくすことが挙げられています。20歳未満の喫煙は法律で禁止されていますし、若年期からの喫煙は健康影響が大きく、成人後の喫煙継続につながりやすいことから、将来の喫煙率減少のためにも重要です。また、妊娠中の喫煙は、妊婦自身の妊娠合併症などのリスクを高めるだけでなく、胎児の発育遅延や低出生体重、出生後の乳幼児突然死症候群発症のリスクにもなります。

 現状、20歳未満の喫煙率は0.6%、妊婦の喫煙率は1.9%と報告されています。これらの数値を0%に近づける対策が今後、講じられます。

 禁煙は、ダイエットなどと同じく、生活習慣の改善です。禁煙のメリットを理解し、禁煙を決断し、継続するための意思が必要です。また、家族を含めた周囲のサポートも重要です。禁煙補助薬等もうまく利用して、やめたい人がやめられるようなサポートを充実させましょう。

執筆者

中田由夫(なかたよしお)

筑波大学体育系 教授

主な研究テーマ
食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにすることを目指しています。
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