#37歯・口腔の健康、歯科検診
「8020運動」、ご存知でしょうか?「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」という運動です。
実は歯科医療費(約3兆円)は、約2兆円の高血圧や脳血管疾患よりも高額です(がんは約4兆円)。また、高齢者のみならず、若い世代でも相応の医療費がかかっていることが特徴的です。すなわち「80歳」に近い高齢期の対策はもちろん、小児期からの対策を充実させることが、「8020運動」には必要です。
歯・口腔の健康は、糖尿病や循環器疾患等との関連性が指摘されていることもあり、健康日本21(第三次)では、①歯周病を有する者の減少、②よく噛んで食べることができる者の増加、③歯科検診の受診者の増加、を目標に掲げています。
①歯周病は40歳以上で顕在化し始めると言われていますが、若年期から高齢期にかけての切れ目のない対策が必要です。
②よく噛んで食べることができるかどうかは、口腔機能を表しており、健康寿命の延伸や生活の質の向上に関係します。口腔機能も中年期頃から低下し始めると言われいます。
③定期的な歯科検診による継続的な口腔管理は、歯・口腔の健康に大きく寄与します。生涯を通じて歯科検診を受診し、歯科疾患の早期発見・重症化予防を諮ることが重要です。
口腔には、食べる機能だけではなく、会話をしてコミュニケーションをとる機能もあります。食事や会話に支障をきたすと、外出や人との付き合いを避けるようになり、閉じこもりがちになります。高齢期に身体的、精神的、社会的に健康な生活を送るためにも、口腔機能の維持を心がけましょう。
執筆者
中田由夫(なかたよしお)
筑波大学体育系 教授
- 主な研究テーマ
- 食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにすることを目指しています。