#38良い睡眠でしっかり休養

 健康日本21(第三次)では、①睡眠で休養がとれている者の増加、②睡眠時間が十分に確保できている者の増加、を目標に掲げています。

 睡眠で休養がとれていないと、心筋梗塞や狭心症などの発症率が高く、肥満や糖尿病、高血圧や精神疾患とも関連することが報告されています。

 適正な睡眠時間は、20歳以上60歳未満は69時間、60歳以上は68時間です。睡眠時間が短すぎても長すぎても、健康リスクとなる点に注意が必要です。特に高齢世代では、長時間睡眠に注意しましょう。

 睡眠でしっかりと休養をとるためには、睡眠時間の確保はもちろん、仕事などによる日中のストレスを軽減すること、就寝直前の夕食や夜食を避け、朝食をしっかりとるなど食習慣を見直すこと、運動を習慣化することが大切です。

 また、睡眠でしっかりと休養がとれない背景に、糖尿病、高血圧、がん、うつ病などの疾患が潜んでいる可能性もありますので、注意が必要です。

 平日の睡眠不足を休日に取り戻そうと「寝だめ」する人も少なくありませんが、実際には眠りを「ためる」ことはできません。むしろ、体内時計のずれが生じることで、健康に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。

 休日に長時間睡眠が必要とならないように、平日に睡眠時間を確保することが大切です。労働者の場合には、長時間労働を是正するなど、働き方改革が必要なケースもあります。育児や家事が原因で、睡眠時間が確保できないケースもあります。個人、家庭、職場など、さまざまなレベルで、改善に取り組みましょう。

執筆者

中田由夫(なかたよしお)

筑波大学体育系 教授

主な研究テーマ
食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにすることを目指しています。
一覧へ