#39日常生活における歩数の増加

 健康日本21(第三次)では、身体活動・運動分野の目標のひとつとして、「日常生活における歩数の増加」を掲げています。日常生活における歩数は、主として日々の生活活動を反映していると考えられますが、この歩数が多いほど、疾病罹患率や死亡率が低くなることが多くの研究で示されています。

 国民健康・栄養調査によると、国民の平均歩数は20~64歳の男性で7,864歩、女性で6,685歩です。また、65歳以上の男性では5,396歩、女性で4,656歩です。この現状値に基づき、20~64歳は男女ともに8,000歩、65歳以上は男女ともに6,000歩を目標値に設定しています。

 1日8,000歩をクリアするためには、およそ60分間、身体を動かす時間が必要となります。これは、日常生活における細々とした動きがおよそ2,000歩に相当し、それに加えて10分間の歩行がおよそ1,000歩(60分間で約6,000歩)に相当するためです。

 「プラス・テン」と言われるように、10分=1,000歩の歩数増加ができれば、間違いなく、将来の生活習慣病の発症予防や社会生活機能低下を防止することができます。まずは、ご自身の歩数の現状値を把握し、そこから1,000歩増やすことに取り組んでみてください。そして、プラス・テン×1、×2、と歩数を増やしていき、8,000歩を目指してください。8,000歩を楽々クリアできる人は、是非10,000歩を目指してください。

 現代社会は非常に便利な世の中で、意識しないとなかなか歩数は増えません。1日の中のどのタイミングでプラス・テンを実行するか、しっかり計画して取り組んでくださいね。

執筆者

中田由夫(なかたよしお)

筑波大学体育系 教授

主な研究テーマ
食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにすることを目指しています。
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