#44食塩摂取量の減少に向けた健康的な食事

 世界的には、健康に最も影響を与える食事因子は全粒穀類の摂取不足であるのに対して、日本を含む東アジアではナトリウム(食塩)の多量摂取が最大の食事因子になっています。そのため、日本においては減塩に対する取組が重要となります。

 健康日本21(第三次)では、「食塩摂取量の減少」を目標として掲げており、現状値10.1gに対して7gを目標値としています。WHOでは、1日あたり5 g未満という目標値を掲げていますが、10 g程度という現状値を考えると、かなりの差があるのが現状です。「日本人の食事摂取基準」(2020年版)では、習慣的な摂取量を考慮して、成人男性7.5 g未満、成人女性6.5 g未満を目標値としています。

 日本高血圧学会は、高血圧の予防ために、1日6 g未満を推奨しています。その具体的な方法として、①めん類の汁やスープを残す、②漬物は控える、③みそ汁は1日1杯以内、④味見をせずにむやみに調味料をかけない、⑤低塩タイプの調味料を使う、⑥大量に出にくいしょうゆさしを利用する、⑦塩味の濃い加工品や総菜は控える、⑧食卓に卓上調味料を置かない、⑨酢や香辛料を積極的に使用する、⑩香りの強い野菜を積極的に利用する、⑪減塩食品を活用する、という11項目を挙げています。

 減塩(ナトリウムの減少)にあわせて気をつけたいのが、カリウムの摂取です。野菜、果物に多く含まれるカリウムをとると、ナトリウムが効率的に体外に排出されます。目標としては、野菜を1日350 g以上、果物を2日で1つ以上、とることが挙げられます。日本茶、コーヒー、紅茶などのカリウムを含む飲料、牛乳、食塩無添加の野菜ジュースなども推奨されています。

 ナトリウムが少なく、カリウムが多い、健康的な食事にするためには、主食、主菜、副菜のそろった食事が大切です。「食事バランスガイド」を参考に、望ましい料理の組み合わせを考えましょう。

執筆者

中田由夫(なかたよしお)

筑波大学体育系 教授

主な研究テーマ
食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにすることを目指しています。
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