#50野菜をとるメリットと工夫

2024年度から開始された健康日本21(第三次)の栄養・食生活の目標のひとつとして、「野菜摂取量の増加」が挙げられています。特に、食物繊維とカリウムについては、野菜からの摂取寄与度が高く、野菜および果物の摂取量を増やすことで、循環器疾患による死亡率が低下することが報告されています。

 野菜摂取量の目標値は1日350 gです。生の状態であれば、両手3杯に相当します。朝、昼、夕、3食すべてで両手1杯の野菜をとるのは大変かもしれません。しかし、生野菜は「かさ」が多いのが特徴です。熱を通すとかさが減り、食べやすくなります。両手1杯の野菜も、ゆでると片手1杯程度になります。

 生野菜は満腹感を得やすいので、体重が気になる人は、食事の最初に生野菜を食べるようにすると良いでしょう。生野菜ばかりだと飽きるかもしれないので、加熱した野菜もバランスよくとると良いです。

 野菜の種類についても、濃い色の緑黄色野菜、薄い色の淡色野菜、根菜類、色の違いで含まれる栄養素が大きく異なります。そのため、いろんな色の野菜を組み合わせて取ることをオススメします。

 小腹が空いたときに野菜をとるのも良いでしょう。「間食」というよりも「補食」、足りない栄養を補う、という考え方です。スティック野菜やゆでた野菜を冷蔵庫にストックしておけば、手軽に野菜をとることができます。

 興味深い研究として、家族と一緒に食事をしている子どもは野菜摂取量が多いこと、一人暮らしの高齢者は野菜摂取量が少ないことが報告されています。誰かと一緒に食事をするときのほうが、食事のいろどりを気にして、野菜を摂取する頻度が高くなるのかもしれませんね。

執筆者

中田由夫(なかたよしお)

筑波大学体育系 教授

主な研究テーマ
食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにすることを目指しています。
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