#54 健康関連体力のひとつとしての体組成

「健康関連体力」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?健康の維持増進に関連する体力を指しますが、具体的には、心肺持久力、筋力、筋持久力、柔軟性、体組成で構成されます。体組成は「能力」ではありませんが、体脂肪量が少なく筋量が多いほど、筋力や持久力の向上が期待できます。一般に、適正体重はBMI 22で計算されます。つまり、身長(m)×身長(m)×22です。しかし、同じBMIであっても、体脂肪量や筋量はひとによって様々です。体重やBMIは健康状態を表す指標のひとつですが、絶対的なものではありません。BMIが標準であったとしても、身体組成として健康的かどうか、見直してみてください。特に、BMIが低くて体脂肪率が高い人は、体脂肪が多いというよりも筋肉が少ない状態を表しますので、できれば運動を習慣化して、筋肉を使う機会を増やすことをおすすめします。身体組成の評価で難しい点として、体脂肪計の種類によって数値が異なる点が挙げられます。そのため、BMIであれば25以上で肥満と判定しますが、体脂肪率については明確な定義がありません。参考まで、市販されている体脂肪計で主に使用されている基準は下記の通りです。低い:男性10%未満女性20%未満標準 :男性10%以上20%未満女性20%以上30%未満やや高い:男性20%以上25%未満女性30%以上35%未満高い(肥満):男性25%以上女性35%以上繰り返しになりますが、体脂肪計で出てきた数値が必ずしも正しいとは限りません。また、電気抵抗値から算出している家庭用の体脂肪計では、体の水分量の影響を受けるため、計測のタイミングによって数値が変動します。しかし、同じ体脂肪計で同じ時間帯に測定した際に観察される長期的な変化は信用できます。脂肪を減らして筋肉を増やす、というのは、言うのは簡単ですが、実際には大変です。毎日、決まった時間に体重、体組成を測定することを習慣化し、長期的な体の変化を確認していきましょう。




執筆者

中田由夫(なかたよしお)

筑波大学体育系 教授

主な研究テーマ
食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにすることを目指しています。
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