#63適正体重を維持して健康な毎日を

体重管理というと、「太らないためのもの」と考える人が多いかもしれません。しかし、健康のためには肥満だけでなく、やせや低栄養にも注意する必要があります。年齢や生活環境によって体重に関する課題は異なりますが、大切なのは自分に合った適正体重を維持することです。
若い女性では、「もっと痩せたい」という思いから無理なダイエットを行う人が少なくありません。しかし、過度なやせは貧血や月経不順、骨量の低下などの原因となり、将来の妊娠・出産にも影響する可能性があります。見た目だけでなく、健康な身体づくりを目標にすることが重要です。BMI(体重[kg]÷身長[m]÷身長[m])が18.5未満の場合は「やせ」に分類されます。一度、自分の数値を確認してみましょう。
高齢者においては、低栄養が大きな問題となります。加齢に伴い食欲や活動量が低下すると、体重だけでなく筋肉量も減少しやすくなります。その結果、転倒や骨折のリスクが高まり、日常生活に支障をきたすことがあります。高齢期には「体重を減らさないこと」も健康管理の大切な目標です。肉や魚、卵、大豆製品などのたんぱく質をしっかり摂り、適度な運動を続けることが筋肉量の維持につながります。
働く世代では、肥満予防が重要な課題です。デスクワークの増加や運動不足、外食や飲酒、睡眠不足などにより、知らないうちに体重が増えてしまうことがあります。肥満は高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のリスクを高めます。そのため、毎日体重を測定し、自分の体重変化に早く気付くことが大切です。体重が増加傾向にある場合は、歩く機会を増やす、甘い飲み物を控える、夜遅い食事を見直すなど、小さな生活習慣の改善から始めてみましょう。
適正体重は「痩せていないこと」でも「太っていないこと」でもありません。遺伝、年齢、生活状況、さまざまな要因によって規定され、必ずしもBMIだけで判断できるものではありません。自身が健康と感じることができる体重を保つことが重要です。毎日の体重測定と規則正しい生活習慣を心がけ、生涯にわたって健康を維持していきましょう。

執筆者
中田由夫(なかたよしお)
筑波大学体育系 教授
- 主な研究テーマ
- 食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにすることを目指しています。
