#21 免疫力を上げるために大事なこと

免疫とは、体内に侵入した病原体を異物として認識し排除することで、身体を正常に保つ働きを指します。免疫には、自然免疫と獲得免疫があります。

 自然免疫は、ウイルスや細菌に共通した成分を認識して、白血球の一部である好中球やマクロファージなどが、体内に侵入した病原菌から身体を守る仕組みです。一方、獲得免疫は抗体を使って病原体を排除する仕組みで、自然免疫よりも効率よく異物を排除できます。

 新型コロナワクチンを接種すると、抗体を作り続けることができるようになります。ただし、産生される抗体は次第に数が減ってくるため、定期的な接種が必要となります。

 免疫の仕組みは複雑であり、「免疫力」というひとつの指標で測れるものではありませんし、免疫力を高める確立された方法もありません。しかしながら、生活習慣病と同じように、よく睡眠をとること、運動すること、禁煙すること、健康な体重を維持すること、バランスのよい食事をとることが、感染防御に有利に働くと考えられています。

 実際、新型コロナとの関連においても、身体活動レベルの高い人は、新型コロナの感染リスクが低く、罹患しても入院や死亡などの重症化につながりにくいことが報告されています。良い生活習慣を継続することは、免疫力を高めるためにも重要です。

執筆者

中田由夫(なかたよしお)

筑波大学体育系 教授

主な研究テーマ
食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにすることを目指しています。
一覧へ