#31 体重管理の重要性とその方法

 体重は、最も正確に計れる健康指標のひとつです。健康診断では、体重(kg)を身長(m)の二乗で割って算出する体格指数(body mass index: BMI)で、やせ/標準/肥満を判定します。BMIが18.5未満でやせ、18.5~24.9が標準範囲、25以上で肥満です。BMI 22が標準体重(時に理想体重)とされていますが、絶対的な基準ではありません。加齢とともに身長は低くなり、体重は重くなりがちです。そのため、BMIは徐々に高くなることが自然です。とはいえ、油断するとすぐに太ってしまうので、毎日体重を測定して、体重管理することが重要です。

 ご自身の適正体重を考えるうえで、ひとつ参考になる数値が20歳時体重です。遺伝的にやせ型の家系であれば、20歳時にやせ型であることが多いでしょうし、ぽっちゃり型の家系であれば、20歳時にそれなりの体型になっていることでしょう。例えば、40歳時にBMI 25だったとします。もともとやせ型の人にとってのBMI 25と、もともとぽっちゃり型の人にとってのBMI 25では、20年間で増えた体重には大きな差があります。20歳時の体重に戻す必要はありませんが、20歳時から増えた体重の半分くらいを減らすといったように、参考にすると良いでしょう。

 目標体重を決めたら、1日に減らすべきエネルギー量を計算します。1 kgの体脂肪は7000 kcalなので、1日250 kcal減らすと4週間(28日間)で1 kgやせる計算になります。1週間で0.25 kg減っていれば問題ありませんが、1週間たっても減らない場合は、食事や運動の内容を見直す必要があります。エネルギー収支バランスが負に傾いていれば、必ず体重は減るはずです。体重計に乗りながら、生活習慣の改善に取り組んでみてください。

執筆者

中田由夫(なかたよしお)

筑波大学体育系 教授

主な研究テーマ
食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにすることを目指しています。
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