#G+【番外編①】座り過ぎ:運動不足だけじゃない健康リスク

 「運動不足」は健康に悪影響を及ぼすことはよく知られています。少し体重が増えたときも「運動不足だからねぇ」と言い訳によく使われます(実際には「食べ過ぎ」のことのほうが多いような・・・)。

 近年、この「運動不足」に加えて「座り過ぎ」が健康に悪影響を及ぼすことが分かってきました。身体活動量が多ければ多いほど、将来の死亡リスクは下がります(図1)。一方で、座位時間が長ければ長いほど、将来の死亡リスクは上昇します(図2)。

 座り過ぎと将来の死亡リスクが関連する理由は、まだよくわかっていませんが、座り続けることで、脚の筋肉が活動せず、代謝が悪くなることが原因と考えられています。そのため、わずかな時間でもいいので、立ち上がることが重要であり、座位時間を「中断する」という意味の「Break(ブレイク)」が重要と言われています。

 具体的には、30~60分に1回、座位時間をブレイクすることが健康のために重要です。立ち上がるだけで「効果あり」です。もし可能であれば、立ち上がったついでに、ぶらぶら歩けば「さらに効果あり」です。

 1日24時間、睡眠時間を8時間として、起きている時間は16時間あります。運動時間はせいぜい1時間ですので、それ以外の15時間は座って過ごす可能性があります。1日の総座位時間が8時間を超えると「座り過ぎ」と考えられていることから、意識的に座位時間を減らす心がけが重要になります。

 運動しててもしていなくても、将来の健康のために、今日から座位時間の「ブレイク」、心がけてみてください。

出典:厚生労働省 
   第1回健康づくりのための身体活動基準・指針の改訂に関する 検討会.
   ガイドライン改訂に向けた研究班のとりまとめ.
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001112601.pdf
(参照2023-11-30)

執筆者

中田由夫(なかたよしお)

筑波大学体育系 教授

主な研究テーマ
食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにすることを目指しています。
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