#35バランスの良い食事で生活習慣病予防

 2024年から開始された健康日本21(第三次)で設定されている目標について紹介します。栄養・食生活のなかでは、「バランスの良い食事を摂っている者の増加」が挙げられます。主食・主菜・副菜を組み合わせた食事は日本の食事パターンであり、良好な栄養素摂取量、栄養状態につながることが報告されています。主食・主菜・副菜をそろえることは、簡単そうに思えますが、実際にそのような食事をしている人の割合は、2021年度の調査で37.7%でした。この割合を増加させることで、栄養素の過不足のない食事が達成され、生活習慣病予防、生活機能の維持・向上につながると考えられます。

 次に、「野菜摂取量の増加」と「果物摂取量の改善」が挙げられます。野菜と果物に含まれる栄養素は多々ありますが、特に、食物繊維とカリウムの摂取量が増えて、生活習慣病予防につながります。実際、野菜・果物の摂取量を増やすことで、循環器病死亡率が低下することが国際的な研究によって示されています。また、日本でも、野菜の摂取を70g増やすことで、循環器病の疾病負荷が小さくなると予測されています。果物摂取についても、高血圧、肥満、2型糖尿病などの生活習慣病の発症リスク低下との関連が報告されていますが、日本人の平均摂取量は増加していません。

 忙しいときなど、ついつい簡単な食事になりがちですが、主食・主菜・副菜を組み合わせて、野菜・果物をしっかりと摂取できるように、心がけてください。

 

執筆者

中田由夫(なかたよしお)

筑波大学体育系 教授

主な研究テーマ
食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにすることを目指しています。
一覧へ