#41座位行動ブレイクとは?

健康日本21(第三次)における身体活動・運動分野の目標達成に向けた取り組みを推進できるように、「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」が発表されています。このガイドの中では、こども、成人、高齢者、働く人、有疾患者といった対象者ごとに推奨されるべき事項がまとめられています。

このガイドの中で、身体活動の推奨とともに重視されているのが、座位行動です。座位行動とは、「座位や臥位の状態で行われる、エネルギー消費が1.5メッツ以下の全ての覚醒中の行動」と定義されます。メッツは運動強度の単位で、安静状態が1メッツです。この座位行動には、デスクワークをすることや、座ったり寝ころんだ状態でテレビやスマートフォンを見ることなどが含まれます。

この座位行動(座りっぱなし)の時間が長くなり過ぎると死亡リスクが高まることが分かっています。そのため、成人および高齢者に対して、「座りっぱなしの時間がなり過ぎないように注意する」という推奨事項が示されています。

座位行動ブレイクとは、座りっぱなしにならないように、座位行動を中断し、立ち上がったりからだを動かしたりすることを指します。ブレイクによって歩数が増えることがなくても、座位行動によるリスクを減らすことができます。もちろん、ブレイクしたついでに少し歩き回ったりすることで、歩数を増やせるとさらに効果的です。

ある研究によれば、30分に1回の座位行動ブレイクによって、血糖値や中性脂肪などが低下することが示されています。そのため、座位行動ブレイクは、可能な範囲で頻繁に行うとよいでしょう。

執筆者

中田由夫(なかたよしお)

筑波大学体育系 教授

主な研究テーマ
食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにすることを目指しています。
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