#48禁煙のすすめ

令和4年国民健康・栄養調査報告によれば、喫煙する人の割合は、男性24.8%、女性6.2%です。30代男性の35.8%が最も高く、40代31.9%、50代28.7%、60代25.0%、70歳以上15.8%と下がっていきます。
喫煙が、脳卒中や心疾患などの循環器疾患、肺がん、慢性閉塞性肺疾患、糖尿病などのリスクを高めることはよく知られていますので、年齢を重ねるごとに、このような病気にかかることが身近に感じられて、喫煙率が下がるのかもしれません。
一方で、現在習慣的に喫煙している人の中で、たばこをやめたいと思う者の割合は、男性21.7%、女性36.1%であり、40代女性では、50.0%の人がたばこをやめたいと思っています。
なぜたばこをやめたいと思っているのか、禁煙する理由をはっきりさせることが大切です。自身の健康のため、あるいは、家族の健康のためでしょうか。妊娠中の喫煙は、妊婦自身の妊娠合併症などのリスクを高めるだけでなく、胎児の発育遅延や低出生体重、出生後の乳幼児突然死症候群発症のリスクにもなります。受動喫煙は、短時間でも、頭痛や血圧上昇を引き起こします。
いずれにしても、禁煙したいと思うのであれば、そのことを決心し、周囲の人に伝えましょう。辛いときには励ましてもらう相手が必要です。
たばこへの依存度は人それぞれですが、少なからず、たばこをやめた後、吸いたくなる状況があるでしょう。事前にその対策を講じておくことが大切です。特にイライラしたときなどはたばこを吸いたくなるかもしれません。そのようなときは、外に出て深呼吸するなどして、気分転換を図りましょう。
たばこへの依存度が高く、不快な気持ちが強く出る場合などは、禁煙補助薬を使用しましょう。体内からニコチンが抜けていくときに現れる不快な症状を離脱症状といいます。ピークは2~3日目くらいまでで、禁煙開始後1週間程度で消失します。ニコチンガムやパッチを用いることで、禁煙成功率は高まります。
たばこのない新しい人生へ、いまスタートしましょう。

執筆者
中田由夫(なかたよしお)
筑波大学体育系 教授
- 主な研究テーマ
- 食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにすることを目指しています。