#53運動:ほんの少しでもやるとよい

2024年1月に発表された「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、歩行レベル以上の身体活動を1日60分、歩数で表すと8,000歩を目標に掲げています。この目標となっている身体活動量は、特に運動という形で実施しなくても、歩いて移動する時間を増やすなどすれば、日常生活の中で達成可能です。それだけでも十分、健康利益を得ることが可能であり、死亡率や生活習慣病などの病気にかかるリスクが下がることがわかっています。

この身体活動の時間に、少しでもよいので運動の時間を含めるようにすると、さらに健康利益が得られます。目標としては週60分以上が推奨されていますが、運動時間が0分と比較すれば、1分でも2分でも運動を実施することで健康利益が得られます。運動の種目はウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動が推奨されます。1回30分程度、まとまった時間の運動ができればベストですが、それが難しい場合は、通勤での歩行時間中に数分間、息が少し乱れる程度まで、歩くスピードを速くするだけでも、運動効果が得られます。

有酸素運動に加えて、筋力トレーニングを加えると、さらに健康利益が高まります。目標としては週40分が目安となりますが、こちらも筋トレ時間が0分と比較すれば、1分でも2分でも筋トレをすることで健康利益が得られます。この筋トレは、ジムなどに行かなくても、自宅で実施できる程度の筋トレで構いません。腹筋やスクワット、腕立て伏せなど、器具を使わずにできる筋トレでよいので、生活の中に含めてみてください。

例えば歯磨きをしながらスクワットするなど、「ながら運動」に取り組むこともよいでしょう。日常生活の中で歩数をかせげるように意識をしながら、ほんの少しでもよいので、日々の生活に運動を取り入れてみてください。

執筆者

中田由夫(なかたよしお)

筑波大学体育系 教授

主な研究テーマ
食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにすることを目指しています。
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