#66「スイッチ・テン」で活動的な生活を

健康づくりのために運動を始めようと思っても、「忙しくてまとまった時間が取れない」という方は少なくありません。しかし、健康づくりは運動の時間を増やすことだけではありません。座りっぱなしの時間を減らすことも大切です。
近年、デスクワークやパソコン、スマートフォンの利用時間の増加により、1日の多くを座って過ごす人が増えています。長時間座り続けることは、肥満や糖尿病、心臓病などの生活習慣病のリスクを高めるだけでなく、死亡リスクとも関連することが報告されています。また、運動習慣がある人であっても、日中の座位時間が長い場合には健康への悪影響が見られることがわかっています。
そこで注目されているのが「スイッチ・テン」です。スイッチ・テンとは、座りっぱなしの時間を、1日10分でも多く、立つ、歩く、体を動かす時間に切り替えることを意味します。特別な運動やトレーニングを行う必要はありません。不活動な時間を活動的な時間に少しでもスイッチ(切り替え)することが大切なのです。
例えば、電話をするときに立って話す、エレベーターではなく階段を利用する、少し離れたコピー機を使う、昼休みに職場の周囲を歩くといった行動も立派なスイッチ・テンです。自宅でも、テレビのコマーシャル中に立ち上がる、家事を行う、近所を散歩するなど、ちょっとした工夫で実践できます。
健康づくりというと、「毎日運動しなければならない」と考えがちですが、まずは座りっぱなしを避けることから始めてみましょう。まとまった運動時間を確保できない日でも、こまめに立ち上がり、少しでも体を動かすことが健康につながります。まずは1日10分間、スイッチ・テンを意識してみませんか。

執筆者
中田由夫(なかたよしお)
筑波大学体育系 教授
- 主な研究テーマ
- 食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにすることを目指しています。
