#6 ウォーキングについて

スポーツ庁の調査によれば、運動・スポーツを行っている人のうち、6割以上がウォーキングを実施しています。手軽にできることが魅力ですが、歩数を増やすだけであれば、買い物や通勤など、日常生活の歩行動作を多くするだけでもOKですよね?では、運動としてウォーキングする意味は何でしょうか?

日常生活の歩行とウォーキングの違いは歩行速度です。一般に、日常生活の歩行は時速3 km程度で、ウォーキングでは時速4~6 kmです。この歩行速度の違いはエネルギー消費量の違いにつながり、さらに持久性体力を高める効果につながります。持久性体力が高まると、さらに速く歩けるようになり、軽いジョギングも可能になります。ジョギングをすると、さらに体力が高まり、さらにエネルギーを消費できるようになります。

もし、心拍数を計ることができるのであれば、速度を上げると心拍数も高まることがわかるでしょう。このとき、自覚的にも「きつい」という感覚が生じます。この感覚は自覚的運動強度と呼ばれ、運動強度の指標として使えることが知られています。「楽である」という感覚から「ややきつい」と感じる程度にすることで、持久性体力は高まります。「きつい」と感じてしまうと強度を上げ過ぎているかもしれませんので、うまくコントロールしてください。体力が高まれば、将来の死亡リスクも下がることが知られていますよ。

執筆者

中田由夫(なかたよしお)

筑波大学体育系 教授

主な研究テーマ
食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにすることを目指しています。
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