#12 筋力トレーニングの必要性

筋肉は、私たちの体を動かし、支えるために重要な役割を果たしていますが、それだけではなく、たんぱく質の貯蔵庫でもあり、糖を消費する役割も担っています。そのため、意外に思うかもしれませんが、糖尿病などの代謝疾患と関連することも知られています。

筋力の指標として、最も計りやすいのは握力です。これまでの研究から、握力が高いほど、死亡率が低かったり、がん罹患率が低かったり、糖尿病発症率が低かったり、とさまざまな研究によって、筋力の重要性が示されています。

実際には、握力だけを鍛えればよい、ということではなく、全身の筋肉をまんべんなく鍛えることが望ましいです。健康づくりのためですので、ボディビルダーがおこなっているような筋トレは必要ありません。道具を使わないでもできるスクワット、腹筋、腕立て伏せのようなトレーニングを、1セットあたり10~15回、休憩をはさみながら2~3セット、週2~3回の頻度で行うとよいです。

筋力を高めるためには休息が必要です。一方で、「毎日やる」と決めた方が、継続はしやすいでしょう。オススメは、月曜日はスクワット、火曜日は腹筋、水曜日は腕立て伏せのように、1日1種目でローテーションさせると、前日に使った筋肉に休息を与えつつ、別の筋肉を鍛えることができますよ。

執筆者

中田由夫(なかたよしお)

筑波大学体育系 准教授

主な研究テーマ
食事と運動を中心とした行動変容が生活習慣病の予防および改善に及ぼす影響を明らかにすることを目指しています。
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